マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
…さっきのは何だったんだろう。
(知らなかった…)
走る足は、どんどん速まる。
さっきのキスシーンを頭から振り払うかのように。
瞳真が後藤さんと…特定の女の子と仲良くしてるなんて。
そういうことをしてるなんて。
知らなかった…!
瞳真とは、いつも一緒で。
一緒にボールを追いかけて、辛い練習や試合も乗り越えて。
ずっと…あのままだと思っていた。
それが…!
走るスピードは速まり、そのうち全力疾走になってしまう。
息がきれて、走れなくなってきた私は、近くの公園によろよろと入って、ベンチに座った。
息を落ち着かせるため、頭を落として俯いたままでいる。
そこへ、ザザッと砂をかする足音がした。
『…あれ、星月?』
顔を上げると、そこには同じ少年団の仲間だった尊の姿があった。
尊は、私と同じくスポーツウェアにランニングシューズを履いている。
『…あ、お疲れ。尊も走ってたの?』
『中体連まで2週間だからな。少年団時代のルーチン崩せなくてな?』
尊も瞳真と同じ、部活でサッカーをやっている。
『…あれ?瞳真は?おまえらランの時はいつも一緒じゃなかったっけ』
さりげなく問われたその質問に、胸がズキッとする。
瞳真は…。