マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「………」
目の前の光景に、開いた口が塞がらない。
これ…。
…ここで、ふと。疑問が生じる。
あれ?
蓑島くんと横川さん。
二人は付き合ってないんだよね?
ただの幼なじみなんだよね?
…でも、横川さんは、蓑島くんに泣きながら抱きついて。
で、蓑島くんはそんな横川さんを慰めるように、頭を撫でて…背中ポン?
…って、ただの幼なじみの頭、撫でる?
だってだってだって。
この場面、おふざけの場面じゃないよ?
本気で泣いて、慰めて…からの、頭撫でだよ?
しかも、背中ポンだよ?
これ、端から見たら…誰もがデキてるって思うよね…?
待って待って待って。
彼女、私…だよね?
偽物だけど。
でも、表面上は、私…だよね?
すると、私と同じ光景を見ていた、傍にいる野球部員がこそこそと話をする。
「わぁー。横マネ、蓑島に抱きついてるわー」
「いいないいな。俺も横マネなら抱きつかれてえ」
「無理無理。横マネは蓑島のモンだろ?」
…ええっ?!
横川さんは、蓑島くんのモノ…?!
同じ野球部員には、そう周知されてるの…?
ちょっとちょっとちょっと。
私の存在は…?