マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
現役の時より全然遅い、軽いランニング。
見慣れた景色の並ぶ、見慣れたコースを走る。
様々な色形の住宅街。
川にかかる小さな橋。
広い道路には、等間隔に街路樹が植えてあって、ゴールデンウィークごろには桜並木になる。
長い長い坂道になっていて…これはちょっと、今の私にはキツイ。
ここは…昔、ずっと瞳真と走っていたコース。
大会前に必ず走り込んでいた、あのコースだ。
瞳真と後藤さんのあの一件があってからは、ずっと走っていなかったコース。
あの時のことを思い出すのが嫌で、このコースを走ってはいなかった。
…けど、もう今は大丈夫。
いろいろな事を思い出して、走る。
しかし、早い段階で息が上がってきた。
まだ半分くらいしか走れてないし、足がパンパン。
初日はこんなもんかな。
そう思って、傍を通る公園に寄る。
公園の中に入り、息が上がる中、徐々にスピードを緩めて足を止めた。
やっぱりこんなもんだったかぁ…。
無理もない。約一年走ってなかったし…。
昔はもっと走れたんだけどなぁ。
持ってきた水筒の水を、ごくっと一口飲んだ。
「…星月?」