マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



現役の時より全然遅い、軽いランニング。

見慣れた景色の並ぶ、見慣れたコースを走る。



様々な色形の住宅街。

川にかかる小さな橋。

広い道路には、等間隔に街路樹が植えてあって、ゴールデンウィークごろには桜並木になる。

長い長い坂道になっていて…これはちょっと、今の私にはキツイ。



ここは…昔、ずっと瞳真と走っていたコース。

大会前に必ず走り込んでいた、あのコースだ。



瞳真と後藤さんのあの一件があってからは、ずっと走っていなかったコース。

あの時のことを思い出すのが嫌で、このコースを走ってはいなかった。

…けど、もう今は大丈夫。



いろいろな事を思い出して、走る。

しかし、早い段階で息が上がってきた。

まだ半分くらいしか走れてないし、足がパンパン。



初日はこんなもんかな。



そう思って、傍を通る公園に寄る。

公園の中に入り、息が上がる中、徐々にスピードを緩めて足を止めた。



やっぱりこんなもんだったかぁ…。

無理もない。約一年走ってなかったし…。

昔はもっと走れたんだけどなぁ。



持ってきた水筒の水を、ごくっと一口飲んだ。



「…星月?」



< 388 / 800 >

この作品をシェア

pagetop