マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



「行けたら行くって何?用事でもあるの?」

「いや、ない…」

「じゃあ行けるじゃん。決まり。うち来てよ。寿都の牡蠣美味しいんだよ?寿牡蠣っていってさー」

牡蠣の時期じゃないような気もしますが…。



しかし、随分と強引ですね。

わかってはいたけど。



「じ、じゃあ、行く…」

「やったー!」



蓑島くんは、私の返答に笑顔になる。

私が行くって言って、喜んでくれてるんだろうか。

だとしたら、嬉しい。

と、いうか、ホッとする。

一応、彼女の立場だということを認識されているような気がして。偽物だけど。




(………)



…私。

『偽物』じゃ、もう嫌だ。

とか、思い始めてるのかな…。



でも…。



胸の違和感が取れないまま。

ひょっとしたら、両手挙げて素直に喜べなかったのは、図々しく思われたくないだけではなく。

この、違和感のせいなのかな…。



…そういうことで、明後日の日曜日。

午後から蓑島くんちにお邪魔することになってしまった。



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