マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
思わず声をあげてしまった。
牡蠣をアルミのガンガンに入れて、そのまま火をかけて蒸すとか、バーベキューでこんなことを今までしたことがなかったワケで。
ちょっと感動してしまった。
「せづ、ひょっとして初めて?牡蠣のガンガン焼き」
「うん、初めて!すごい良い匂いするね!」
「ふふふ。ではでは、せづのために殻を剥いてしんぜよう」
ふふふ…と、なぜか怪しく笑っている蓑島くんは、いつの間にか軍手をはめて、オイスターナイフを持っている。
手早く牡蠣をつまんで取り出し、ナイフを差し込んで手早く殻を開けていた。
「はい、どうぞ」
「わぁー!身が大きい!こんな大きいの初めて見たよ!」
「まだ剥いてあげる」
そう言って、パッパと手早く剥いていく。
蓑島くん、軍手似合うな…。
その大きい身の牡蠣を口に頬張りながら、その横顔を見つめてしまう。
「…んっ。おいしー」
「でしょ?まだまだあるよー。レモンかけても美味いし」
隣の隣の席では、紫苑先輩も牡蠣の殻剥きを試みていたが、ナイフがうまく差し込めず、手こずっているようだ。
「あれ?あれっ…」
「もう。紫苑先輩ヘタ。貸して」
璃里さんに牡蠣とナイフを奪われ、こちらも手早く殻を剥いていく。
蓑島姉弟、手慣れてる…。