マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
しかし、瞳真と一緒にここに来るのは、ホント久しぶりかもしれない。
何年ぶりだろうか。
トングとトレイを持って、店頭のパンとにらめっこしている瞳真の姿を漠然と見つめる。
「おまえ何食べんの」
「あ、あんクロ…」
と、言う前にすでにトレイの上にはあんクロが乗っかっていた。
「って、言う前に乗っけてるじゃん」
すかさず突っ込んでしまうと、「え?だっていつもこれ食ってんじゃん」とあっさり返答される。
そうだけど。
…わかってるね。
「あとは?」
「いや、ひとつでいい…」
瞳真は、並んでいるありったけのクロワッサン全部をトレイに乗せていた。
五つ…。
こんなに食べれるの?
…相変わらず、クロワッサンなんだね。
そのトレイをお会計レジの前に出す。
すると、この男は予想だにしなかったことを言い出す。
「苺さん、閉店間際で申し訳ないんだけど、食べてっていい?」
「はぁ?!」
…と、私が思わずビックリしてしまった。
店長さんは「いいぞいいぞー!7時までなら!」と、快く了承してくれている。
「ち、ちょっと瞳真…」
「ダメ?どうせ家帰るだけだろ」
「そうだけど…」