マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
…それから、閉店7時までの30分。
パンを食べながら、ただひたすら談笑の時間だった。
瞳真は、私の嫌いなインディアン水車の話をしたがる。
…そこをイジるのも、いい加減にしてよ!
とてもしょっぱい事件であり、もう魚とあの木製水車の話はしたくない。
あんなに距離が離れていたのに。
高校に入ってからも、話すのは遠慮がちで、距離があったのに。
今、こうして昔みたいに話せているなんて。
不思議…。
想いを手放すと、昔に元通りだなんて。
皮肉な結果ではあるけど。
「パンごちそうさま。結局奢ってもらっちゃった」
閉店時間になったので、店長さんに挨拶してからお店を出る。
辺りはもう暗くなっていた。
「別に。元気なさそうだったから」
「………」
出た。えりか様的発言『別に…』。
…ではなく。
元気なさそうだったからって…?
(バレてる…)
何で…?そんなにあからさまな様子だったろうか。
ええぇぇ…。
「と、とりあえずまた明日。朝練、遅刻するんじゃないよ?」
「いつも遅刻しないけど」
「…じゃ!」