マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
真冬の夕方、氷点下までグッと気温が急降下するこの時間に。
下着同然の露出度の高い際どい衣装のまま、靴を履かないで飛び出す。
この年は例年より積雪量が多く、すでに道路は雪で踏み固められていて裸足でなんて走れるもんじゃない。
体は冷えて、震えて。
足の裏は雪の冷たさで、かじかんで感覚が無くなり、傷だらけになりながらも。
あの変態男の恐怖に打ち震えながらも。
すれ違う人に『リオのカーニバル?!』と二度見されても。
でも、夢中で走って逃げた。
逃げ出したい、ただその一心で。
そして、辿り着いた先は、母の実家である祖父母宅。
しかし、祖父母は外出中で不在。
どれだけインターホンを鳴らしても、ドアをドンドンと叩いても。
『おじいちゃん!おばあちゃん!たすけて!…たすけてぇーっ!』
…喉が擦りきれるぐらい叫んでも、誰も出てこなかった。
そして、次に助けを求めたのは…お向かいさん、蓑島家。
同様にインターホンを鳴らして、ドアを叩き、助けを求めて泣きながら叫ぶ。
『おじさん!おばさん!たすけて!…ゆうすけ!たすけてぇーっ!うわあぁぁーんっ!』