マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
『…おおっ!マジで?!』
坊主少年は、私が手に取った四つ葉のクローバーを奪い取る。
『わー!やったやったー!…見つけ~たよ四つ葉のクローバーを~♪』と、テンアゲで某ロックバンドの歌を歌い始めた。
それを持ったまま、自分のベンチへと走っていってしまう。
と、思いきや。
こっちを振り向いた。
『俺のマイラヴハニー!』
…え、私?
『今日はおまえのために、愛のホームランぶち込んでやるぜ!愛してる!』
そう叫んで、手を振ってベンチへと走っていった。
な、何なのあの人。
いきなり、愛してるって言われた。も、もう。
知らない人に。
イケメンだけにドキッとしちゃったよ、もう…坊主だけど。
…しかし、その彼は次の打席。
センター真っ正面の、オーバーフェンス。
特大満塁ホームランを打ってしまった。
女扱いされず、男子に混じってサッカーをやっていた私が。
その有言実行ホームランを見て、胸キュンっていう感覚を味わった初めての出来事だった。
会ったばかりの知らない人なのに。
『愛してる』
このくすぐったさ、何だろう…。
俺の愛しい女性。愛してる。
…だなんて、言ってくれる人。
こんな男みたいな私に。
これから先、現れるのだろうか。
ーーーそれから、四年。