マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



状況がわかると、急に心拍数が上がって。

それはやがて、きつく高鳴る。



(ち、ちょっと…)



声も出ずに、体が固まってしまう。

そんな中、耳元で囁くように小声で呟かれる。



…その声は、弱々しくて、儚く。





「…俺じゃ、ダメか?」





…ダメ?

ダメって…何が?




再び、ギュッと力を入れて、きつく抱き締められて。

何が起こってるのか、考えようと思ってもうまく考えられない。



「…ち、ちょっと待って!待って!」



我に返って、腕を払おうとするが、力が強くて逃れられない。

腕の中でジタバタともがいてしまう。



「と…瞳真!」



首を逸らして振り返る。

後ろの瞳真と目が合った。



視線が重なると、時間が止まったような気がして。

抵抗が出来なくなってしまう。



顔を引き寄せられて。

顔との距離も近くなって、何だか恐くなって目をつぶってしまった、その時。




唇が重なる柔らかい感触がして。



キス…された。



唇を合わせる時間は長くて。

感触が消えて、やっと離れたと思っても。

また、それは重なって。



腕の中で、きつく抱き締められたまま。

何度も…何度も、キスをされた。




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