マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「あ…実は、星月とここで待ち合わせしてるんです」
「は?ここで?何で?」
「実は星月、来週の球技大会でサッカーやるんで、その練習を一緒に」
嘘のようで、本当のことをあえて言った。
…だなんて、実を言うと、球技大会の件は部長に話しておきたかったんだよ。
門脇部長も、星月がサッカーをやめたことをとても残念がっていた。
学校行事だけど、でも。
星月がまた、ボールを蹴る。
試合に出る。
一番喜んでいるのは、俺かもしれない。
「…マジか?」
思惑通り、早速食い付いてきた。
意味もなく、こっちにすり寄ってくる。
「はい。男子の中に一人女子ですけど」
「…そうか!…男子の中に一人女子?…アイツなら問題ないだろ!いやー!そうかそうか!」
案の定、門脇部長は喜んでいる。
一段と機嫌が良くなった。
「学校の球技大会、大人が見に行ったらダメか?ダメか?」
「あ…それはわかりませんけど」
「まあいい!学校に電話して聞いてやるさ!…やぁー、良いこと聞いたぞ!杉マネにも後で連絡するわ!」
「はぁ…」
このおっさん、本当に見に来そうだ。
杉マネ…星月の母を連れて。
それも、悪くないかな。