マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
『星月、朝はごめん!明日は必ず行くから!』
はっきりしてきたその頭で、いつもより深く頭を下げる。
何故か、星月は俺から目を逸らしていた。
…って、あんなシーンを目撃したんだ。
お互い、気まずいったらありゃしない。
それでも、そんな恥を偲んででも、謝らなければならないような気がした。
しかし、下を向いて星月はボソッと一言呟く。
覇気のない声で。
『…もう、いいよ』
『…え?』
もういいって、何?
『あ、瞳真もいろいろ忙しいでしょ?…これからは別で走ろ?』
いろいろ忙しい?
…女との逢い引きに忙しい?
そんな風に見られたのかとイラッとする反面、 ざわざわとした不安が胸を過る。
『あ、明日は大丈夫だって!』
『もう、いいから…じゃあ』
だから、もういいって何なんだ?!
そう言って、星月は笑顔を見せて立ち去る。
その場に一人取り残され、立ち尽くしてしまった。
…ヤバい。ヤバいぞ。
相当怒ってるぞ。
何に怒ってるんだ?
約束をすっぽかしたこと…だよな。
まさか、朝まで紗耶香といたことか?
いや、それは違うよな。
俺達の関係はそんなんじゃねえし。
だけど、そんな事を少しでも思ってしまった自分が不思議でならなかった。