マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様




『星月、朝はごめん!明日は必ず行くから!』



はっきりしてきたその頭で、いつもより深く頭を下げる。

何故か、星月は俺から目を逸らしていた。

…って、あんなシーンを目撃したんだ。

お互い、気まずいったらありゃしない。

それでも、そんな恥を偲んででも、謝らなければならないような気がした。



しかし、下を向いて星月はボソッと一言呟く。

覇気のない声で。



『…もう、いいよ』

『…え?』



もういいって、何?



『あ、瞳真もいろいろ忙しいでしょ?…これからは別で走ろ?』

いろいろ忙しい?

…女との逢い引きに忙しい?

そんな風に見られたのかとイラッとする反面、 ざわざわとした不安が胸を過る。



『あ、明日は大丈夫だって!』

『もう、いいから…じゃあ』



だから、もういいって何なんだ?!



そう言って、星月は笑顔を見せて立ち去る。

その場に一人取り残され、立ち尽くしてしまった。




…ヤバい。ヤバいぞ。

相当怒ってるぞ。



何に怒ってるんだ?

約束をすっぽかしたこと…だよな。



まさか、朝まで紗耶香といたことか?

いや、それは違うよな。

俺達の関係はそんなんじゃねえし。



だけど、そんな事を少しでも思ってしまった自分が不思議でならなかった。



< 597 / 800 >

この作品をシェア

pagetop