マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



大先輩の登場に、みんな一斉に背筋が伸びて『ちわす!』と頭を下げる。

俺も後ろの方でなんとなく。

…と、いうのは。

星月が彼を神扱いしており、キャーキャー騒いでいるから、先輩だけど何となく気に入らない。

でも、凄い先輩であることには変わりないので、遠くで軽く頭を下げた。



すると、傍にいた女子高生も『こんにちは』と頭を下げる。

…パンダフルの娘だ。

目が大きくて肌が白くて、ぶっちゃけ可愛い。

イケメンの隣には、やはり美少女か。



『竜堂さんもひょっとして、星月のお見舞いですか?』

一番前にいた尊が尋ねると『まあな』と頷いている。

『凜に様子見てきてくれって言われてな。まあ俺も心配してるし』

『竜堂さんの顔見たら、星月超元気になるんじゃないすか』

『バカヤロー』



尊たちが談笑してるのを見てると、パン屋の娘と目が合う。

『瞳真くん、こんにちは』

『…こんにちは』

パンダフルの常連客である俺は、パン屋の娘とは顔見知りだ。

パンの匂いがフッと鼻を掠める。

彼女の持っている紙袋からか。




『じゃあな。おまえら受験だろ?頑張れよ』

『はい、お疲れ様です!』



そう俺達に言い残して、竜堂さんはパン屋の娘とエレベーターに乗り込んでいった。



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