マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
半ば強引に、車に乗せられる。
発進した車は、杉マネの家とは反対方向へと走り出していた。
『すみません、遠回りになっちゃって』
『いーのいーの!…瞳真も元気してた?』
『は、はい』
『受験する高校決まった?』
『いや…まだです』
車の助手席で、杉マネと近況報告みたいな談笑をする。
しかし、何気無く振った話題から、気になっていた話を耳にすることになるのであった。
『…杉マネ、スーツ着てるけど…どこかの帰りなんですか?』
今日はいつもと印象が違うと思ったら、杉マネはリクルートスーツを着ている。
いつもはデニムかスポーティーな格好をしてるのに。
すると、『うふふ』と含み笑いをして答えてくれる。
『今日は、仕事の面接に行ってたの!杉マネ、久々の正社員だよ?来月からだよー』
『し、仕事?!何の?』
『看護助手さん。ほら、竜堂さんのお母さんが働いてる病院。欠員でたからどう?って言われて。凜も大学行くし、星月も進路決めたから働かないとー』
仕事が決まったからか、杉マネはやたらとご機嫌だ。いや、いつもご機嫌なんだけど。
って、何気に言ったのかもしれないが、俺は聞き逃さなかったぞ?
『…星月、高校決めたんですか?!』