マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
『クロワッサン二個、260円でーす』
『…は?おまえ、それだけしか食わねえの?』
え…。
声のする方へ顔を上げる。
すると、イートインスペースには星天高校の制服を着た知り合いが座っていた。
テーブルにはコーヒーとクロワッサン。
参考書片手にこっちをじっと見ている。
うわ。竜堂さんだ。超絶イケメン先輩。
俺達の少年団の先輩。スター選手で神がかった先輩。
星月が、神のように崇める先輩だ。
その名の通り、中学のクラブチームでも、高校でも活躍している。
彼の加入で、全国二年連続出場だぞ?マンガみてえであり得ない。
…夏に病院で会った以来だ。
『よう。水口…だっけ?』
『はい。お疲れ様です』
気に入らなくても一応先輩なので、頭をペコリと下げて踵を返す。
『おいおいおい。ちょっと待てよ』
『…はい?』
『まあ座れ。こっち来て座れ』
引き止められた。何なんだ。
俺、そんなに用事…。
…ある。
ちょっと、聞いてみたいことある。
止めていた足を引き返させ、彼の下へと赴く。
『何すか』
『いや、おまえ高校どうすんの?サッカーやんの?』