マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
『マジ、グランドに竜堂さんが帰って来たのかと思った。マジ竜堂二世だな』
ちっ。うるせえな。
バビルとかルパンみたいな言い方すんな。
どこに行っても、あの神先輩が付きまとう。
しかし、相手は先輩。シカトしているワケにもいかないので、とりあえず『恐れ入りやす』と頭をペコリと下げる。
…あ。噛んでしまった。
『…おまえ、今噛んだ?噛んだ?…ぶっ!』
『………』
チャラ男先輩は、そこは逃さず失笑している。
ちっ。しまった。
余計なことを言ったばかりに、バカにされ笑われてしまった。
『…おまえ、おもろいな?気に入った。明日から自主練付き合えよ。恐れ入りやす?』
『………』
何でこんなことに。
気に入った?
ちっ。この男、噛んだ俺をバカにしてるし、しつこい。
またあの男に《あんたの後輩、俺をバカにしてくる。どう落とし前付けてくれるんですか》とLINEしよう。
…しかし、敦斗から『早霧谷さんに自主練誘われた?!あの人うちの絶対的エースだぞ?おまえすげーな!』と、興奮気味に聞かされる。
だが、文句は言っていても、自主練は悪くない。
俺は、ここでレギュラー取るんだ。
メニューの量で頭がごちゃごちゃになろうが、二世だろうが。
ただ、夢中で走り抜けるしかない。