マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
しかし、この蓑島とかいう男。
しつこい。
『何て言うシャンプーか、おせーて。おせーてなぁー?』
『………』
シャンプーの名前なんて、いちいち覚えてらんねー。何でもいいし。
第一、そんな伸びた芝みてえな短髪で、何をシャンプーにこだわる。
『頼むー!おせーておせーて!俺もサラツヤストレート♪になりたいんだわー』
『………』
…その髪、サラツヤだと逆に気持ち悪い。
『…えっ?!ひょっとして、美容室にしか売ってないっていう高級シャンプー…それじゃ小遣いで買えないじゃん!』
『………』
わからん。
しかし、シャンプーシャンプー言ってると、真面目に授業を受けてないと思われるのは必須。
先生からすぐに注意を受ける。
『…コラァ!そこの二人!…くっちゃべってないで真面目に体操せんか!』
うわ。怒られた。
一言も喋ってないのに、くっちゃべるなって怒られた。
頭が微妙に薄い、おっさん先生がこっちにずかずかとやってきた。
輩のような、すげえ迫力。
サッカー部のハゲ監督、糸田先生だ。
その迫力に、ちゃんと真面目に体操していた他の生徒もビクッと体を震わせてこっちを見ている。