マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
そして、絡まれるのは体育の時間だけじゃない。
それは、6月の宿泊研修の時。
夜、ホテルの大浴場の洗い場で、髪を洗っている時という、両手が塞がっている無防備な状況でのことだった。
シャンプーで泡立てた髪を、シャワーで流している時。
ヤツは気配を消して、いつの間にか俺の背後にいた。
『うぉー。おまえのデカっ』
…何っ!
背後から…覗かれた!
『…おまえぇっ!このっ…!』
『イケメンな上にそこがデカいとモッテモテやんけ!モッテモテ!女は中毒になるな?』
ガハガハと豪快に笑いながら、さっさと立ち去られる。
ちっ。何から何までイジりやがって!
…そして、これだけじゃない。
入浴後、クラスの男子に『おまえに話があるって女子来てるぞー』と、言われる。
あぁ、それはまさか…。
向こうで待っていた女子と、玄関口へ行き、話を聞く。
『水口くん、私一目惚れしちゃって…良かったら付き合ってもらえませんか?』
その、まさかだ。
…あぁー。誰こいつ、知らない。
なのに、俺が好きとかどういうこと?
わっかんねぇ…。