マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


『…おまえさぁ、女と付き合ったことある?』

『ありますよ』

『じゃあ、おまえから告白したことは?』

『…そういや、ないです』

『………』



なぜ、気まずそうに沈黙する。



『…そうか。おまえ、本気で人を好きになったことないのか』

『はっ?!』



またしても急に何を言い出すんだ?

俺にだって本気で恋ぐらいしたことは…。



(………)



な、ない。




頭の中を巡る過去は。

小学生の時は、星月やみんなとやるサッカーが楽しくて、恋をするなんて頭の中には微塵もなかった。

喋る女子なんて、星月ぐらいだった。



中学生になって、何人か彼女は出来たけど。

すべて、向こうから好きになったと言われ、あまり長続きしなくて別れる。

彼女になった人に、そんなに興味はなく…。

ただ、星月と廊下でサッカーの話や世間話をするのが楽しくて…。



(あ…)



考えてみると、今までの俺。

星月しかいない。



付き合った彼女、去るものは追う気にもなれなかったけど。

星月との仲は、必死になって取り戻そうとしている。



これは…。




『…それって、そういうことなんですか』

『俺に聞くな。他人に言われて気付くってどういうことだ?』




これが…恋なのか。



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