マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



『…おい、水口?!』

『どこに行くんだ!練習始まるぞ!』



気が付いたら、その場を飛び出していた。

星月を探しに行かなくては!

無意識に思ったんだと思う。




嫌な予感はしたんだよ。

やっぱり教育委員会に手紙を書いておくべきだった!

…ではなく、直に呼び出されるとか、もうボコボコにされるでしかないだろ!



(…星月!)



蓑島のせいで星月がボコボコにされるような事があれば。

俺は間違いなく殺るぞ。

星月に手を出した上級生も…蓑島も!

あの神先輩の竜堂さんだって、恋愛の邪魔するヤツは簡単に殺してもいいと言った。(…)





…だが、しかし。

体育館の裏に行くと、そこにはなぜかホースの片付けをしている横川しかいなかった。

遠巻きにその様子を見ながら、足を進めると…。




そこには、星月と蓑島がいて。

星月は蓑島に抱き寄せられていた。




(………)




…あぁ、そうか。

俺のとんだ無駄足か?

いや…蓑島の方が一歩早かったんだ。



俺の力は…届かなかった。



二人を視界に入れないように、踵を返してその場を後にする。

グランドには向かわず、あの裏口のベンチに一人、寂しく座って呆けていた。



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