マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「…で、悠介。何の用だ?金貸して欲しいのか?」
紫苑先輩はやれやれ…といった苦笑いをする。
「いえいえ。紫苑くんに金を借りるほど、俺落ちぶれてない。…ちょっとサッカー部の皆さんに挨拶を」
「挨拶?」
…物凄く、嫌な予感がした。
これは、恐らく。
『わたくし、蓑島悠介は、あなたがたのお友達の杉久保星月の彼氏となりましたので、悪しからず…』
朝の再来…!
その場から逃げようとした時には、もう遅い。
すでに左腕を捕まえられており、ゆっくりと引き寄せられる。
振り切って逃げようと思っても、びくともしない。
ちょっと!…ち、力強い!
そして、ぐいっと腕の中まで引き寄せられ、肩を抱かれる。
その瞬間、先輩マネたちが「きゃー!」と黄色い声をあげ、ギャラリーの部員たちは更にざわめき、どよめき始めた。
みんな、ポカーンと私達を見ている!
…そこには、瞳真もいて。
隣には美優の姿も…。
「せ、せづマネ…!」
「星月?!」
蓑島くんの腕の中に、すっぽりと抱かれた私。
私をホールドしている彼は「フッフッ…」と怪しく笑っている。
「ち、ちょっと離して蓑島くん!…み、みんなが見てる!」
腕の中で抵抗するも、やはりびくともせず。
私、結構力には自信あるのに。
この人、どれだけ力強いの…!
そして、やはり。
またしても…発表してしまうのであった。
「星月がいつもお世話になってますっっ!私、蓑島悠介は、杉久保星月の彼氏となりましたので、以後お見知り置きをぉっ!」
「…は、はぁっ?!」
…やっぱり、言っちゃった!