マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
うひひ…と、冷やかすように笑われてしまう。
私のムキになるリアクションを楽しんでいるかのように。
何なのよもうー!
「…じゃあ、イカせてあげる」
「…え?…えぇっ?!」
「ん?何驚いてんの。行かせてあげるっつってんのに。水口のところへ」
「あ、あぁ…」
…びっくりした。急に何を言い出すのかと思った。
イカせると行かせるね。
前に言われたそっちの方かと思った…。
あぁぁ…。
「ひょっとして、やらしい方のこと考えたしょ?」
「な、何っ!」
「わー。星月エロっ。エロいー」
「こらぁぁっ!」
どうしてすぐに察するの!
「今までみたく、背中押してあげる。トーンって?ね?」
そう言って、ニコニコと笑みを送られる。
足元のカバンを手渡してくれた。
「…うん。ありがとう」
「じゃあじゃあ背中向けて」
そうして、言われるがままに背中を蓑島くんの方へ向ける。
体を向けた方向は、私の進むべき方向だった。
…大丈夫。
これからは、独りでも歩いていける。
「それでは、蓑島様のお見送り。背中トンで!」
「…早く」
独りでも、独りじゃないから。
後ろを振り返れば、私を支えてくれる人が…いる。