マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
…いや、気付いていたけど。
恐くて、彼の中に一歩、踏み込めなかった。
こんな感情を自覚してしまっては、もう今まで通りでいられない。
前みたく『仲間』でいられなくなったらどうしよう。
だから、恐かった。
自分で背を向けて、遠ざけて…逃げてしまった。
…でも、もう逃げない。
変化を恐れるな。
何もせず、悔いを残して終わって。
後悔する方が恐いよ。
そんなことに…気付いた。
…そう思うと、足取りがだんだん早くなっていく。
気持ちが高ぶるのと比例して、徐々に早歩きとなり。
学校の敷地を出る頃には、駆け出していた。
空はすっかり暗くなり、街灯や灯りが点って少し明るくなった商店街の通りを、走って走って駆け抜ける。
途中、行き交う通行人やサッカーの練習着を着た練習帰りの少年にぶつかりそうになりながらも。
走って走って、走り抜けた。
全力疾走を続けていると、体力がだいぶ落ちたせいか、息がきれて苦しくなって、途中立ち止まってしまう。
息を落ち着かせると、また足を進めて走り出していた。
早く、行かなきゃ…。
(瞳真…)
私を待っていてくれている。
今一番、会いたい人のところへ。