マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
目的地のグランドに向かっていると、徐々に見慣れた景色が登場して、思い出されてくる。
今走っているこの道は、練習行くのに自転車に乗ってお兄ちゃんと通った道だ。
マネージャーであるお母さんは車でグランドに行ってたけど、体力作りだからって自転車で通わされた。
商店街の通り沿いにある、門脇部長のお寿司屋さん、肉のやくむらを通り過ぎて。
商店街の街並みの雰囲気に合わない近代的なデザインの11階建てマンションは、理人くんちで。
通りを挟んで斜め向かいには、川越酒店とスナック牧があって。
その間の道を右に入って、住宅街を進む。
もう少し進むと、右手に小さな神社といつもお祭りをやっている大きい公園…りす公園が見えてきて。
そこに、野球グランドとサッカーグランドが隣接されている。
そこが、私達のホームグランド。
遠くからだけど、ようやくその姿が見えてくる。
…昔は。
今とは違って、瞳真はいつも私より早くグランドに着いていて、待っててくれた。
今は、どうだろう…。
(…あ)
街灯のみで照らされた、少し暗がりのグランドに。
その姿があった。
「…瞳真っ!」