マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



何故か腰に手を当てて、仁王立ちして私達を出迎える。

蓑島くんが…。



その蓑島くんは、眉間にシワを寄せてずかずかとこっちに歩いてくる。

な、何!



そして、私…ではなく、瞳真の顔を上から覗き込んでいる。

顔近い。まるで、ヤンキーみたい…。



…だけど。話し方はヤンキーじゃない。

実演販売のおばちゃんだった。




「水口王子、今日も女子何人か死んでますわ!一人一人葬式してあげてー!」

「…うるせー。インチキヤロー。おまえのそのノリ、エセ占い師みてえなんだよ。でっかいガラス玉持ってる占い師」

「ガラス玉?水晶でしょ?ガラス玉占い?うひひ…でなくてですね?!このおバカ王子様!」

「何だよ。うさんくさいヤロー」




蓑島くんのしつこさに、瞳真がクールな無表情ながらもムッとした表情になる。

蓑島くんは、一瞬だけ私の方をチラッと見た。




「…水口。おまえに一言だけ言っとくぞ?」



蓑島くんの声のトーンが落ちた。

実演販売のおばちゃん風でもエセ占い師風でもない。



「んだよ。うさんくさいヤロー」



瞳真のムッとした表情は続いている。

それどころか、こちらも眉間にシワがグッと寄って…。



…え?え?

まさか、再びケンカの始まり…?!


< 785 / 800 >

この作品をシェア

pagetop