マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
アホみたいに今日も、何かを信じて心を躍らす。
アホ…。
「…人、すごいね」
「ああ…」
それから、時間になりベンチ入りをしたのだけど。
予想以上の歓声の量に、思わずフィールドから瞳真と並んでスタンドを見上げてしまう。
プロの試合じゃない。高校の試合なのに。
人数収容の多い競技場のスタンドが、人で埋め尽くされている。
何でだろ…と、思ったが。
心当たりは、ある。
…昨日の夜。
蓑島くんが、アカウントだけ持っているのみの状態であるSNSを、初めて動かした。
《明日、ミスター蓑島はサッカー部の決勝戦の応援に参加しまーす!》
《生徒会が応援Tシャツ作ってくれたよ!これを着てみんなもサッカー部を応援しよう!》
と、いつ作成していたのか知らないけど。
チームカラーである黄色いオリジナルの応援Tシャツを着た蓑島くんと生徒会長の写真が添付してあった。
やたらとフォロワーだけが多い、ミスターである蓑島くんのアカウント。
それが動いたとなれば、注目度は高い。
その結果、こんなに人が集まり…。
「蓑島くんって、すごいね…」
思わず呟いてしまった。
普段蓑島くんを毛嫌いしている瞳真も「あぁ…」と、納得している。