マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
二人並んで、スタンドを見上げながら、立ち尽くしてしまった。
黄色いTシャツ一色に染められたその光景を。
「…あ。あそこに杉マネと凜兄いる」
「えぇっ!あんな前に!しかも黄色いTシャツ着てる…あ!夏輝くんもいるよ!いるよ!」
「呼んでもいないのに来やがったか」
「…もう!何てこと言うの!…あ。蓑島くん。スタンド応援組と絡んでる…」
「呼んでもいないのに来やがって」
「…こら!そこは蓑島くんに感謝でしょうが!」
「ふん」
瞳真はスタンドに背を向けて、その場を離れる。
もう。拗ねちゃった。
やっぱり何考えてるかわかんない。
みんな応援に来てくれたんだから、感謝してよ。
口には出せないが、背中に向かって心の中でもの申す。
「…あ、そうだ。星月」
「なっ!…な、な、何っ?」
急に振り返られたので、ビックリしてしまう。
まさか…心の声、聞こえた?
瞳真は引き返して私のところにやってくる。
辺りを見回してから私の方に寄ってきて、こそっと話す。
「星月…あのさ。もし、この試合に勝ったら…」
(えっ…)
その話の振り方に、胸をドキッとさせてしまう。
試合に、勝ったら…?
勝ったら…何?
まさか。
その話の入り方…。
もしかして…!