王子様とブーランジェール
baKed.4 王子様と悶絶ペナルティ

外にも中にも7人以上の敵がいる


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baKed.4
王子様と悶絶ペナルティ
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『…また、パン、焼いてもらえませんか?また食べたいです!』




そして、無料通話・メッセージアプリのアカウントを教えろ…だと?!




ゆ、許されないわ…!




突然、一年の教室にやってきた、ゴリラセンパイの高瀬。

高瀬は、売店で桃李にサンドイッチを踏み潰され、ガチギレをし、桃李に手を上げようとした、人間の風上にもおけないヤツだ。

ゴリラだから仕方ないといっておこうか?

翌日、桃李がお詫びの品として、自分で作ったクロワッサンとサンドイッチを高瀬のところに持っていく。

そして今日。宿泊研修も明けてからの登校日に。

高瀬は一年の教室に現れた。

アーモンドチョコレート持参で。




「え、あの…その…あ、はぁ…」



恐る恐るチョコレートを受け取った桃李だが、アプリのアカウントを教えてくださいとお願いされて、困っている。

そして、ケータイが入っていると思われる制服のポケットに、手を突っ込んだ。




…やめろ!

教えるな!




「…ちょぉーっと待ってください?センパイ?」



思わず、体ごと二人の間に割って入る。



「あぁ?何だおまえは!」

突然の邪魔に、高瀬は声を荒げる。

怪訝そうな表情を浮かべて俺を睨み付けていた。

そんなゴリラに対して、桃李を背にし、偽りのスマイルを向けて圧力をかけるように上から見下ろす。

「どけ!竜堂!」

「センパーイ?残念ですが、桃李のLINEは人間用なんでー?ゴリラ用ではありませーん?」

「あぁ?」

「人間用にアップデートしてから、改めて来てくださいねー?」

笑顔でふざけたことを言いながら、高瀬に迫る。

「んだと?さっきから聞いていれば!」

高瀬も負けじと睨み付けてくるが、身長の高い俺に圧倒され、どんどん後退していっている。

このままここから追い出してやる。

「センパーイ?ゴリラの檻はあっちですよー?飼育員の方も迎えに来てますからねー?大人しーく帰りましょーねー?」

「どけ!このっ…か、神田さん!」

高瀬の体が廊下に出かけた時点で、一気に襟に掴みかかる。

持ち上げて、軽く突き飛ばし、その隙に、バン!と思いっきり教室のドアを閉めてやった。



ったく、このゴリラ…!

下心、丸出しなんだよ…!




「…誰か、誰か塩をまけぇーっ!!」






幸せな思いをしながらも、純情ラブストーリーは続行中ですが。

一難去って、また一難。


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