王子様とブーランジェール
…いや、丁重にしなくてもいい思い出だ!
汚点、黒歴史ってヤツだろが!
しかし、紙袋の中から登場したものに、背筋がゾワッとした。
…え?何、これ。
そんなもの、作る?
何のために!
「しょうがねえから、人の手で作らせた3Dだバカめ!縮小フィギュアだ!」
そう得意気に吠える狭山。
人の手で作らせた3Dを、教卓の上にちょこんと置いた。
先生は「おわっ!」と、ビックリしている。
先ほどのパネルのシーンが。
今度は、500mlペットボトルの高さのフィギュアになって、登場!
驚いた…!
怒り通り越して、驚いた…!
「これを!こーれーを!等身大で作りたかったのだバカめ!畜生、あのタヌキ親父!」
狭山は悔しそうに教卓を叩く。
何度も叩いており、先生、困ってる…。
「おいおい。俺の真っ正面にこんなもの置かないでくれる?何ともコメントし難いだろうが…」
「何を生ぬるいことを言ってるのだこの教師は!それを見て、教室に飾るなり、生徒指導するなり好きにするがよい!」
「これは誰が作ったんだ?工藤か?」
「美梨也じゃありませーん!3年の蒲生さんでーす!」
「へぇー…」
先生は、真っ正面に置かれたその縮小フィギュアをまじまじと見ている…。
…っつーか、見ないで!先生!
俺の黒歴史、まじまじと見ないで!
すると、狭山は「クックッ…」と、笑い出した。
お得意の、悪魔の笑いだ。
「…どうだ、竜堂?こーんないかがわしい情事、クラスメイトの前で御披露目されて…私を殺したくなっただろう?クックッ…」
そして、いつの間にか、手に持っている…金属バット!
ま、またか!
そして、その金属バットの先を俺に向けてくる。
「…何なら!今すぐここで相手をしてやってもいいぞ!バカめ!」
なっ!…ここで?!
おまえこそ、何を言ってる!
「…やんねーよ!やんねーから、早くその危険な凶器、しまえ!」
「あぁ?私とタイマンしないと!…怖じ気ついたかこのイケメンがコラァ!」
「おまえとはもう二度とケンカしねえ!」
「…んだと!私を殺したくなっておるくせに!」
すると、後ろから。
狭山の倍はある影が、狭山の背後に現れた。
「…狭山。俺が今、おまえを半殺しにしたいぞ」
…あ。
ああぁぁっ!!