王子様とブーランジェール




その後、延々と気になりながらも、先輩たちとフードコート内で過ごしていた。

よりにもよって、一番暑苦しい大河原さんが隣にいる。



「竜堂、てめえ絶対次も合コン呼んでやっからな?覚えとけこのイケメン」

「お断りします。もう二度と行きませんあんなもの。絶対お断りします」

「ぷぷっ…次の時に女子二人連れて大阪城の殿様コースみたいなこと、ラブホでやっちゃったりしてなー?」

「絶対やめてください。内容は自主規制モノですよ。死んでもやめてください」



あれから、木元さんに状況を伺うメールを入れても、返信がこない。

何だろうか。ホントに大変なことだったんじゃないだろうか。

ホント、何があったのか、ますます不安を煽られる。



「そういえばよー。竜堂おまえ、好きな女いんの?」

「…はあぁっ?!」

突然の質問のぶっ込みに、思わず声が裏返った。

「嵐が騒いでたぞ。おまえに、好きな女がいるんで誤解されたら困るから、もう教室に来んなって言われたってお怒りだったぞ。何、同クラ?」

あー…。あの話か。

「追い払うための口実に決まってるじゃないですか。あ、嵐さんには言わないでくださいよ」

真実は伏せておく…。



と、思っていたら、ケータイの通知音が鳴った。

木元さんからのメールだ…!



『大変なことだったけどたいしたことじゃないから大丈夫』



え、どういう意味ですか。

何かは起きたのか。

でも大丈夫だったのか。

何か、もう解決済みっぽいけど。



詳細を伺うメールを入れようとしたが。

大河原さんが、いろいろ話しかけてきたり、隣にいるのに意味のよくわからないメッセージスタンプを連打してくる。

邪魔ばかりしてくる…。



二時間弱、イオンでだらだらしていた。

帰り道、パンダフルに思いきって寄ってみる。

何だかまだ食い足りないからクロワッサンでも買っていくついでに、桃李に会えれば…。

と、思っていたが。

店内には見かけず、レジのパートのおばさんしかいなかった。

レジのおばさん、山田さんも顔見知りなのでさりげなく聞いてみるが。

「桃李ちゃん?まだ帰ってきてないよ?」

と、あっさり言われた。

まだ、帰ってきてないのか…。




だが、家に帰ってクロワッサンを食べまくっていたら、何だか幸せな気持ちになってしまい、「まあ、明日も学校だからいいか」と、どうでもよくなってしまい、昼寝をしてしまった。

…俺の知らないところで、現在進行形で起こっている騒動のことなど、気付きもせず。




< 169 / 948 >

この作品をシェア

pagetop