王子様とブーランジェール




「お、おい…」

「マジか…」



一方、そんなお祭り騒ぎの女子を呆然としながら眺めている、俺達男子…。




向こうで「神田、可愛くね?」「マジヤバい…」などとの男子の呟きが、あちこちから聞こえてくる。

それを耳にしては、かなりイラッとさせられていた。

ちっ。おまえら…見るな。

桃李を…見るな!




「あれ…ホントに神田?」



咲哉、動けるようになったのか。

女子の群衆を横目に、こっちにやってくる。

陣太も一緒に。



「…なぜ!あんな実力隠してた?!どうしたんだってば天パ眼鏡の神田!」

「………」

その実力を知っていた俺は、何もコメントすることができず…。

しかし、咲哉は群衆の真ん中にいる桃李をじっと見つめている。

咲哉…?

「…か、可愛くてなんかニヤけるな…胸とかヤバい…」

非常にだらしない顔をしながら、見つめていた。

…このっ!

友人までをも、イラッとさせられる。

弊害出まくりじゃねえか…!



「桃李、ようやったなぁ?」



ここでこの男が登場した。松嶋だ。

輪の中心に入っていき、桃李の肩をポンポンと叩いている。

「ま、松嶋」

「来週、ペナルティ入部が終わったら、俺が眼科に連れていってやろうと思ったのに、まさか先手がくるとわな?」

…は?そうだったのか?!

松嶋のヤツ、油断も隙もあったもんじゃ…!

すると、桃李は一生懸命に言葉を出そうとしていた。

「い、糸田先生が…糸田先生が眼鏡やめろって…ずりずりずれて気持ち悪いし、仕事にならないって…」

「まーさーか、糸田さんがおまえの眼鏡を外すとはな?ナイス教師だな」



そうだったのか…。

桃李の言ってたことは、ホントだったのか…。

糸田先生が…なぜ!

まさかの刺客だ。



「しかし、おまえさんは、眼鏡を外しただけで、髪がストレートになり、スカートも短くなるのかえ?どんな呪いをかけられていたんだ?」

「これは、坂下マネージャーが…もったいないって…」

「ほう。よくわかってる女子だな…で?そのびっちびちで?はち切れそうなブラウスも、坂下マネージャーがもったいないって?」

「ん?」

「桃李、そのブラウス、ジャストサイズかもしれんが、おまえさんの大きいオッパイのところだけ、びっちびちにキツそうだぜぃ?」

「えっ!」

「んで、おまえさん、今日はピンクのブラジャーなのかい?ブラジャー、スッケスケだぞぃ?」

「…ええっ!!」



…何っ!



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