王子様とブーランジェール




コンタクトも作成し、残りのお金で髪もサラサラになった。

これで本当にミッション終了…と、思いきや。



『…神田さん?あなたに二、三確認したいことと指導したいことがあるんだけど…いい?』

『え?え?…あ、はぁ』



優里マネの火は、まだ点いたままだった。



『じゃあ、これからちょっとウチに来てくれる?ここから地下鉄乗ってすぐだから』

『あ、はい…』

『じゃあ、行こ?』



確認と指導?



『ち、ちょい優里沙、俺とラーメンの約束は…』

『家でママが作ったラーメン食べればいいでしょ?』

デート、ドタキャン…なんて哀れだ(泣)

『俺のラーメンもあるの?俺も行く』

『蜂谷くんならママは大歓迎よ。敏腕キャプテンお気に入りだから。男子高生大好きだし』

『イェーイ。やった』

その上、友達も着いてくるって何?

得体の知れないガチバカ疑惑の美少女も同伴だし。

哀れ…。



てなわけで、桃李への確認と指導のために、地下鉄に乗って、坂下家へ。



『確認と指導って…何すんの?』



道中、木元さんは最愛の彼女に耳打ちする。

すると、答えはあっさりと返ってきた。



『あの、もったもたなスカートを短くするのよ。古き良き時代の女学生じゃないんだから』



スカートの裾上げ…!

…優里沙、何をする気だ?

まさか、プロデューサー気取り?



優里マネはとっても楽しそうな顔をしていたという…。

何だか、悪そうな…。





こうして、坂下家にやってきた四人。

しかし。



『神田さんはこっち』

『は、はい…』

『男どもはそこらへんにいて。ママの相手でもしてて』

家に入るなり、女子二人は優里マネの部屋の中に籠ってしまう。

え…何で?

男子二人、リビングに置いてかれる。

『やっだー!優里沙ったらもうー!海里、部長さん、ラーメン作るねー!DKはフレッシュだわー!』

若い男子が大好きな優里マネ母の話し相手となってしまった。





しばらくの時間が経つ。

部屋からはこそこそと話し声が聞こえる。

何を話してるかまではわからないが。



優里マネ母のラーメンが完成し、目の前に出てくる。

それに箸をつけ始めた時のことだった。



『…ぎゃああぁぁっ!!』



部屋の中から悲鳴が聞こえてきた。

久々の悲鳴…!



しかし、それは桃李のものではなかったという。



『…優里沙?』



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