王子様とブーランジェール
…だけど。
もう、これからは…ない。
言わないようにするぞ。
自信は…ないけど。だって俺、神経質だし。
まあ、俺のあーでもないこーでもないおまえはダメだ…は、単に構いたかったからっていうのもあったのかな…。
もう、これは、認めよう。
あと、性格。
それほど固めた決意は、強い。
「先生、ひょっとしてこれからアイツの2週間を労ってラーメン食いに行くとかあるんですか?もしあるなら俺着いて行きますから」
「…ない!まだ仕事残ってるから、ない!…おまえ、結構図々しいな?」
それから、待つこと一時間。
作業は終了して、マイクロバスがピカピカになっていた。
桃李は向こうで後片付けをしながら、先生と話をしている。
それを待ちながら、ピカピカになったバスを座ったまま眺めていた。
へぇー。
見事に綺麗になったな。
まあ、明日速攻使って、速攻汚れるんだけど。
すると、桃李がやってきた。
作業していたジャージ姿そのまま、髪も縛ったままで。
だが、こっちに来て開口一番。
「…どうして待っててくれたの?」
いきなり、そうきたか…。
そうだよな。
本日突然、急に帰りを待っている。
不自然すぎる。
「…ミーティングの後、ちょっと残ってたら遅くなったんだよ。だったらついでにと思って」
かなり苦しい理由だ。
しかも、残っていた理由がおにぎり争奪を繰り広げていたという…。
しかも、ついでといえる待ち時間じゃない。
ふ、不自然過ぎる…!
だが。
「…あ、そうなの。何だ。お腹が空いてうちのパンが食べたいからだと思ってた」
…おまえがバカで良かったよ。
もうこうなりゃ、残り物にすがるホームレス扱いで構わない。
俺、そんなにいつも腹ペコに見える?
腹一杯だろうが、食べ物はいくらでも食べれるけど。
帰り道を二人で歩く。
徒歩5分だけど。
だから、ボーッとしていたらすぐに到着してしまう。
「夏輝、センパイのこと、ごめん…」
「え?」
急に話を振られてビックリしたが、桃李は軽くしょんぼりとしていた。
「高瀬センパイ、断れなかった…」
「あ…あれは仕方ねえわ。だってアイツ、バカだし。バカゴリラ」
「そうやってまたゴリラ呼ばわりする…結局、また夏輝に迷惑かけたしょ」
俺も、撃破出来なかったけどな…。
だって、あのゴリラ、手をつけられないレベルの勘違いゴリラだったし。