王子様とブーランジェール








一悶着終えて、理人たちのいる方へと戻る。

…お、人が増えてる。

体育は1、2、3組合同のため、他のクラスのやつらも集合していた。

隣のクラスのサッカー部の連中も咲哉と一緒にいる。

そして…校舎に向かって、手を振り。



「優里マネーっ!俺達の…優里マネーっ!!」



そう叫びながら、みんなで一生懸命手を振っていた。

何やってんだ。



先ほど、狭山が顔を出していた家庭科室の窓から、今度は優里マネが顔を出しており、手を振り返していた。

「真面目に授業受けなさいよー!」

「はーい!!」

すると、優里マネの横に、まゆマネがひょっこりと現れた。

「おっ!梶くんと花井くん、田中くんだー!」

「おぉーっ!まゆマネーっ!」

「俺達のまゆマネーっ!!」

まゆマネの登場に再度盛り上がり、またしてもお手振りが始まった。

「まゆマネ可愛いーっ!」

「おっぱいも、素敵でーす!」

「俺達のまゆマネーっ!!」

「ありがとーっ!でもごめんねー!まゆマネは和田くんがすきなのーっ!…和田くんきゃあぁぁーっ!!」

理人の名前を口にした途端、声の質が変わったぞ。

なりふり構わず、といった様子で理人に向けて両手をブンブンと振りだした。

対する理人は涼しげにスマイルを見せながら、手を振り返している。

随分と余裕だな。



すると、まゆマネの横からまたしても女子生徒が登場した。

あ…潤さん、奈緒美、菜月だ。

「今年の一年元気だなー?」

「元気だと面白いからいいねー」

三人揃って笑っている。



すると、一際デカい声で叫びだしたのは、この男。

横川陣太という、友人。



「上山さん!…愛してますっっ!!」



そして、力強く手を振っている。

陣太、何だおまえ。

咲哉たち、苦笑いしてる。



それを見ていた菜月はくすくすと笑っている。



「ありがとー横川!可愛いよー!また動画持ってきてねー!」

「喜んで!!」



野郎。一万円に味をしめたな。

また持ってこいって…まさか、俺の?!

じ、冗談じゃねえぞ!

気を付けねば…。




この、微笑ましい(…)お手振りの後。

実は、家庭科室では重要な話し合いが繰り広げられていたとは、誰も思わず…。




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