王子様とブーランジェール
「先代と似た雰囲気、ねー」
「常に薔薇背負ってるとこ?」
「でも、確かに…」
「…じゃあ、竜堂ってことで決まり…で、いいんだな?」
「はんたぁーい!ダメ!まゆりは絶対和田くんがいい!竜堂なんてただの食欲モンスターだしー?私のおにぎり!」
「ダメだ。和田は恐らく闇持ちだ。特大サイズの」
「げっ。エリ、わかっちゃった?和田んとこ、家庭環境複雑なんだよね。たいして話してないのに、わかっちゃったとかすごくね?」
「男の人は闇が少しある方がいいんですぅー!何さ、エリちゃん。竜堂くんのことカッコいいとかときめいちゃってんでしょー?顧問に言うからねー?」
「…う、うるさいぞバカめ!おまえは一人で好きなように和田に投票してろ!」
「言われなくてもしますよーだ!」
「…よし。わかった。美梨也たちには私から話しておく」
「この3年間、ミスターと準ミスは不動だったからね。ミスコン、今年は波乱の年と言われてます。波乱って言うか、世代交代だよね」
「…で?菜月、今のところどんな感じ?」
「えーと…やっぱり本命は木元かな。昨年3位だけあって、人気は固いみたい。で、対抗馬が一年の竜堂、和田…」
「やっぱりここで名前出てくるんだこの二人」
「次に名前が上がってくるってことは、後一押しみたいな感じでしょ?」
「ちょっと、いい方法ないの?海里がミスターにならなきゃもう何でもいい。竜堂くんなら器量ありそうだし」
すると、エリは「クックッ…」と悪魔のように笑い出す。
「…まあ、こんなこともあろうかと、すでに2つほど手は打ってあるのだバカめ…」
「…手?って、何」
「それはお楽しみ…なぁ?奈緒美?潤?…それに、菜月?」
「ホントにやるワケ。あれ」
「マジ?」
「あぁ。生徒会長の立花の許可も取った。立花はノリノリだ」
「立花はエリに協力的だもんねー」
「私も準備に抜かりありません」
「使えるものは、大いに利用してやる…竜堂の弱点も把握済みだからな?」
「弱点?毛虫が嫌いとか?」
「糸田にも楯突いてるみたいだし、俺様ちっくだから、恐れてる人とかいなさそうだけど?」
「弱点…私は何かわかるけどね」
「学校祭、大いに楽しもうではないか…?」