王子様とブーランジェール







「…へぇー。マジ?で?」

「先生、で、続き続き!」

「おうおう。それでな?」



本日は、木曜日。

明日から始まる学校祭に向けて、昨日から引き続き、本日は一日中、準備の日。

その合間の時間に。

担任の仙道先生を、10人弱の男子生徒が取り囲む。



今、みんなで、先生の高校時代の昔話を聞いているのだ。



仙道先生は、ただいま31歳。

なんと、13年前はこの高校の生徒だった。

その時のこの高校の話が、とても面白くって。

俺達男子は食い付いた。



俺、この先生、結構好きかも。

恐らく、今まで出会った教師の中では1、2を争うぐらい。

気さくで教師特有の偉そうな雰囲気はなく、目線を生徒に合わせてくれていて、何にでもオープンに話をしてくれる。

まるで、近所のお兄ちゃんみたいな感じ。

話も面白いし。俺達生徒を見下している感も…ない。




「そうそう、『星天四天王』の話な?」



仙道先生の時代にも、ミスターコンテストというのはあって。

今と変わらず、学校祭のイベントの一つとして、女子からの投票により、決められていたそうだ。

先生の時代のミスター…この日比野とかいう男が。

超天然のすっとぼけたヤツで、このミスターのすっとぼけ武勇伝というので、俺達は大爆笑。

球技大会中にグラウンドの隅で七輪で火を起こして一人で焼き肉をしていたとか。

糸田先生のカツラを美術の時間に作るとか。(糸田先生はカツラがいるほどハゲてはいない。ただ年にしては薄いだけ…)

遅刻して学校に来たと思ったら、プレステの入った紙袋を持参してきており、何かと思ったら。

近くのゲーム屋で、並んでプレステを購入してから登校してきてしまったという。

翌日に日比野は日直で、日誌に『僕は何をしたらいいのかわからなくて、この先に不安を感じずにはいられないのです』と、一言コメントをしたら。

『じゃあ、学校をサボってまでプレステを買いに行くんじゃない!』

と、糸田先生からの返信コメントが書いてあったらしい。

他にも、この日比野という男は、日直になる度に、日誌に少年漫画のイラストを隅に描いたり、とんでもないことを書いては、糸田先生に手厳しいコメントを書かれ、それが微妙に面白く…。

『糸田先生のホルモンを食べてみたい』

『人間の肝臓はフォアグラとして食せますか』

…糸田先生と内臓が好きなちょっと危ないヤツだ。

シュール過ぎる…。




しかし、この時代。

ミスターの他に、『星天四天王』と呼ばれる、強者四人がいたそうだ…。



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