王子様とブーランジェール
「…で、三回動画見たら、トップ画面に『お金入れて下さい』って自動的に表示されてスタート出来なくなるから。またお金入れたら始められるような感じ」
「はい!ありがとうございます!」
なぜ、菜月はこんなものが作れるんだ?
こんなの作れるJKいる?
何でこんな技術覚えちゃったの?
わからん…。
菜月の長けた技術も、女子の胸キュンポイントも…。
「DVD販売の要項は明日持ってくるから」と、言い残し、菜月は去って行った。
クラス内の準備を終えた俺達。
注目すべきは、突然現れたその箱だった。
胸キュンシアターと看板が掲げられたその箱…。
女子が並んでその箱を凝視している。
「何かこの縁日カフェとマッチしてるのがウケるよね」
柳川はポツリと呟いた。
「まあ、スペースあるから別にいいけど?邪魔にならないようにしてね?横川くん?」
黒沢委員長、釘を差した。
「わかってますって、りみ委員長!」
「ねえねえ横川くん、私達も見ていい?」
尾ノ上さん、興味津々だ。出演者としては、ちょっと複雑。
恥ずかしいわ…。
「いーけど?100円いれろよ?」
「はいはい!私一番!」
柳川が元気良く手を挙げて、速攻中へ入っていった。
「ち、ちょっと!」
合わせて黒沢さんも中に入る。
尾ノ上さんも続けて中に入った。
三人だと、中は狭いぞ。
ざわざわしているが。
中の音は聞こえてこない。
暗幕が防音になってるのか?
しばらくして、三人が出てきた。
「………」
三人とも、無言。
おい、もしかしてスベってんじゃねえのか?
恥ずかしい…。
「ちょっと…」
柳川、顔真っ赤だ。そして、俺の方を見る。
「…死ぬ」
…え?どういう意味?
すると、黒沢さんがため息をついた。
「ちょっと和田くん…あれはまずいって」
理人をチラッと見て顔を覆っていた。
尾ノ上さんはテンションが上がっていた。
「やぁー!二人ともカッコ良すぎ…!ちょっと興奮しちゃったー!私、もう一回見たい!イケメン最高ーっ!」
そして、カバンの中を「財布、財布…」と、言いながら漁っている。
みんなリアクションそれぞれで。
どう評価すべき?
こんなコメントし難いもの、作りやがって…。