王子様とブーランジェール




「まあまあ先生。私が付き合わせちゃったようなものだから。サボってとか言わないで」

超美人はそう言って、糸田先生の肩を叩く。

先生は「お、そうか?」と、コロッと態度を変えた。

はぁっ?!何それ!

女子にも容赦しないのに、超美人には容赦するワケ?

先生も男だな。



すると、またしても体育館のドアが開く。

もう一人、先生現れる。



「お、竜堂、ここにいたの?」



そこには、我が担任の仙道先生だ。



「あ、先生」

「竜堂、梶と横川が探してたぞ?」

「あ…」


返答に困っていたが。

ふと顔を上げると、仙道先生がフリーズしている。

視線の先は、ガチバカ臭のする超美人だ。



「あれ…?」

「仙道先生、お久しぶりです」

超美人は、仙道先生にも頭を下げている。

「うぉっ!高村っ!」

思わず大声をあげた仙道先生に、糸田先生が「しっ!」と、口元を押さえる。

「騒ぐな仙道!大騒ぎになるから。黙っとけ」

「は、はい、すみません…でも、高村何で来た?」

驚きを隠せない様子の仙道先生に、超美人はやんわりと答える。

「糸田先生にワガママ言って入れてもらっちゃいました」

「え?何で?まさかあいつらに…?」

「違うぞ仙道。高村、神田の知り合いなんだと。神田のステージを見に来たんだ」

「ま、マジ?」

「仙道先生、桃李の担任やってるって聞いてビックリしちゃった。仙道先生、クラス担任になったんですね」

「そうなのよ。また狭山のせいでクラス担任の先生辞めちゃったから、そこに糸田先生が入って、抜けた穴が俺に…」

「えっ。糸田先生、狭山のクラスの担任なんですか?」

「そうなのよ。狭山扱えるの、糸田先生しかいないだろ?」

込み入った話を、傍で何となく聞く。

狭山…担任辞めさせてるのか。

しかも、また、って言ったよな?

これ一回じゃないワケ?

どこまでバイオレンスなヤツなんだ。



「まあ、ここじゃ目立つから、中入るぞ?中の方が目立たない」



糸田先生が、体育館の中に超美人を招き入れる。

仙道先生もさりげなく一緒に着いて行った。

しかし、超美人は振り返って、俺を見る。

「あなたは入らないの?大きい人」

「え?」

大きい人…俺のこと?

「一緒に行こ?」

「え、あ、はぁ…」

彼女の手招きに誘われて。

しょうがなく、一緒に中へ入った。



何で…。






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