王子様とブーランジェール
変態の姿が視界に入った途端。
腹の奥から笑いがゲロのように出てきそうになった。
思わず堪えてしまったが…ヤバい、ヤバい!
その女装全開だが、男が滲みまくっている様子。
ギャルメイクは濃すぎてまるでお化けだな。もう。
んでもって、コイツなぜかつらっとこいたすました顔をしてやがる…!
堪えきれないぞ!笑いを…!
左の隣にいる仙道先生の背中に隠れて、『うくくく…』と、笑いを漏らしてしまった。
「おいおい竜堂。笑いたかったら笑えばいいだろ。いいんだぞ?我慢することはない」
「うくくく…先生、あの変態見てよく冷静でいられますね…うくくく…」
「おいおい。これでも俺は教師だぞ。生徒に大爆笑なんざ…」
ステージに目をやると、変態という名の理人が、やたらと機敏な動きで踊っている。
アイツ、マジだ…!
マジで真剣に踊っている…!
動き、キレッキレで、腰の動きも半端ないぞ!
キレよく一回転した時、中にはいてる白いアンダーパンツがチラリと見え、笑いがゲロのように出てきた。
「ぶはははは!キモっ!キモいわー!変態が腰振りまくっているわ!キモっ!パンツ見えた!キモっ!ぶはははは!」
「ぶはははは!和田ぁっ!何だアイツのダンス!試合中その格好のままベンチに待機させるぞって!そのまま試合出すぞって!ぶはははは!」
仙道先生とほぼ同時に、大爆笑してしまった。
「ぶはははは!変態だ変態!パクられるわぶはははは!」
「ぶはははは!それでスタンドの応援頼むわ!ぶはははは!」
「何を笑いまくってんだおまえら…」
糸田先生にため息をつかれてしまった。
結局そのまま、仙道先生と大爆笑し続けてしまった。
でも、笑っていたのは俺と先生だけじゃない。
最終的には男バスの先輩たちをメインに男子は皆、俺達と同じリアクションとなっていた。
男バスの先輩、倒れこんで笑っているヤツもいて、どうやら腹筋崩壊したらしい。
女子からは『可愛いぃーっ!』なんて、歓声の嵐…っていうのがわかんねえし。
終盤には、柳川がバク転をして、女子たちが側転やら捻りを入れたり。
ラストに、松嶋もバク転をして、理人も得意のバク転宙返りを決める。
変態の格好をしたままなのに、特に女子からの歓声が半端ない。
最後にみんなでポーズも決めて、音楽も静かになって、ダンス発表は終了した。
盛り上がり、歓声、半端ないぞマジで。
変態効果。