王子様とブーランジェール
だからなのか、何なのか。
苦手っつーか、何なのか…絡みづらいというか。
元々、子供自体苦手だし。
いや、苦手意識を持ってるその理由は、他にもあるワケで…。
「美奈人、今日はよくこんなに友達連れて来たな」
いつの間にか、俺と理人、そのクソガキ美奈人は一緒にテーブル席に座っていた。
何。談笑している系?
美奈人はわたあめソーダを飲んで、ぷはぁー!と息を吐いている。
おいおい。そのわたあめソーダがビールに見えるわ。
「おうよ!今日はな、桃李と恭ちゃんのためにいっちょ一肌脱いでうりあげにこうけんしてやろうと思ってな?クラスのヤツらをつれてきたってわけよ!父ちゃんからカネもらったから、おおばんぶるまい!」
売り上げに貢献?
たかが学祭だっつーの。
大盤振る舞いったって、それはおまえの親父が稼いだ金だろうが。
だから、わたあめふるまってくれや!ってか?
「女子もさー。みすたーこんてすとにとうひょうしたいっていうから、つれてきてやったのよー」
すると、理人は少し首を傾げて美奈人に聞き返す。
「…恭ちゃん?誰?」
「それ、仙道先生のことみたい。仙道先生と美奈人パパ、友達なんだって」
そう言って、わたあめを持って美奈人の後ろから登場したのは、桃李だった。
桃李の登場に「おぉー!」と、美奈人はあからさまに喜んでいる。
「桃李、いいからすわれすわれ!」
ちゃっかり自分の横に座らせている。
…こういうところが、イラッとするな。
しかし、仙道先生と美奈人の父が友達同士か。
「…美奈人、ひょっとしておまえの母ちゃん、金曜日、この学校来てた?」
「お。あーあー!行ってたぜ?何でもぜんやさいにしょうたいされたって。かえりに友達つれてきて、うちでやきにくしたぜー?日比野のおみやげのシマチョウくった」
おまえとシマチョウ、なかなか合うぜー?
じゃなくて。
やはり、そうか…。
あそこで見たのは、幻ではなかったか…。
「おーい!美奈人ー!」
「おれたちのイケメンリーダー!」
すると、俺達のテーブルに、わたあめソーダを持った小さい男子たちがやってきた。
うっ…ガキが増えていく。
イケメンリーダーってどんなポジションか聞きたい。