王子様とブーランジェール
いろんな事があり、疲れはてた学校祭。
これにて、終了。
…と、言うには。
まだ、早かった。
翌日の月曜日。
学校は休みか?…と、思いきや。
この高校は、休みではなく。
朝イチで終業式を終えた後、学校祭の後片付けを行って、昼過ぎに学校終わり。
他の高校より、一足お先に夏休みに突入するのだ。
さすがに、8日連続登校はきつい。
でも、夏休みが他より1週間早くて多いから得なのか、何なのか。
そんな感じで、朝は普通に起きて、学校へ行く。
部活あるから、普通に弁当持って。
いつもの道を歩く。
少し急な長い長い坂道を下っていく。
突き当たりは、商店街の通りで、そこを左に曲がって、横断歩道を渡って少し歩くとすぐ学校に着く。徒歩10分。
だが、商店街の通りを出ようとすると。
…あぁ、風に乗ってやってきた。
愛しい愛しい、パンダフルの焼きたてのパンの薫りが…。
今日も幸せ。
…ヤバい。さっき食べたばかりなのに、また食べたくなってきた。
何か買ってこうかな。
でも、すぐに学校に行かなきゃならないのに、桃李の母・苺さんに捕まったら、なかなか帰してもらえなく、遅刻してしまいそうだ。
やっぱり、帰りにしようか。
「あ、おはよ」
「おー」
商店街の通りに出ると、丁度、理人と出くわす。
何となく連れ立って、一緒に学校へと向かった。
「そういや夏輝、後夜祭の間どこ行ってた?既読スルーすんなよ」
「っていうか、おまえも見てただろ?ワケのわからないステージを」
「いや、見てたけど。その後さ。どこ行ってたんだよ」
「夕涼み」
ショーの後に、ステージバトルの結果発表があったらしい。
何と、うちのクラスは2位。準優勝。
優勝は、あのゴリラが参加した大喜利だったらしい。
ゴリラ、よかったな?
俺にやられっぱなしじゃ、報われないもんな?
焼き肉でも食べて、心を癒すと良い。
「明日から夏休みだなー」
正面玄関口に入り、靴を履き替える。
「夏輝の夏休みの予定は?」
理人も靴を履き替えていた。
「明日からずっと部活。お盆前にインターハイ。休み無し」
「へぇー。かわいそ。海に行ったりしないの?」
「行く暇あるか」
いやいや。
その前に。
桃李を花火大会に誘うんだ。
昨日、誘おうとしたら、まんまと藤ノ宮に邪魔された。
何としても、今日明日中にアポ取っとかないと。