王子様とブーランジェール
「あ、掲示板、見てきた方が良いよ…?」
菊地さんは、そう言って掲示板の方向を指差す。
は…?
とりあえず、言われた通りにしてみる。
理人と二人でその掲示板とやらの方へと赴いた。
「人、すごいね。ホントに写真販売?」
「まさか俺達の浴衣の写真が貼ってあるとかじゃねえだろな」
すると、人混みの中から、出てきた。
俺のかわいいかわいい桃李が。
人混みに揉まれたせいか、髪が少しボサボサになってるけど。
朝からこんなとこで会えた…!
…いや、教室では間違いなく会うんだけど。
「夏輝、理人、おはよ」
「おう。おはよ」
「桃李、掲示板に何貼ってあんの?」
理人は早速、桃李に掲示板の内容を聞いている。
人混みに入りたくないんだな、おまえ。
しかし。
その掲示板の内容とは。
俺の高校生活を、大きく変えてしまうことであった。
実は、とても大変なことになっていたのである。
「うーん…何かね。夏輝が優勝してたよ」
「…は?何の?」
優勝?
何か、優勝するもの、あったっけ?
「…で、理人が準優勝」
「え。何の」
「なんだろ。わかんない」
わかんない?ちゃんと見てこい!
「準優勝?ダンスは準優勝だったよな。変態の出場したチアダンス」
「そうだね。でも、夏輝は前夜祭のデスマッチ優勝してるだろ」
「あんなただのケンカに優勝もなんもあるかよ」
ぶつくさ言いながら、桃李も含めて三人で、今一度掲示板を見に行く。
背の高い俺達は、人混みの中に入らなくても遠巻きから掲示板を確認することが出来た。
やはり、何かの順位表のようだ。
えーと。
ミスターコンテスト 結果発表…。
ミスター世代交代の年、波乱の激闘の末。
優勝したのは、星天高校の新しい王子様。
1年3組、竜堂夏輝…。
新・ミスターは、竜堂夏輝…。
(………)
「…って、あそこに書いている竜堂って、俺のこと?」
「だから、もう秋緒はいないんだから、竜堂は夏輝しかいないだろ。天丼?」
「………」
ミスターコンテスト、優勝…?
「…おぉうっ!!」
「うわっ。変な声出すなー。あ、俺、ホントに準優勝だ」
マジで変な声、出た…。
今までに出したことのない、変な声。
桃李の汚い悲鳴を咎められないぐらいの、変な声。
ミスターコンテスト、俺が優勝?!
何ですかそれ!!
baKed.5 eNd
++++++++++++++++++++