王子様とブーランジェール
baKed.6 王子様と寂莫サマーバケイション
新ミスターは私であります
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baKed.6
王子様と寂莫サマーバケイション
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ミスター世代交代の年、波乱の激闘の末。
優勝したのは、星天高校の新しい王子様。
新・ミスターは、竜堂夏輝…。
ミスターコンテスト、優勝…?
ミスターコンテスト、俺が優勝?!
何ですかそれ!!
「…って、本当に。何だそれ」
人混みの掲示板を離れ、教室へ向かう階段を上りながら、思わず疑問を口にする。
しかし、それに対する理人の返答は、本当にあてにならないものだった。
「え?単なる男子の人気投票でしょ」
「その割には随分騒がしくないか?本当に何なんだ」
「さぁー。ミスターになったらいいことあんの?売店にあるもの食べ放題とか。授業サボりまくっても単位取れるとか」
「んなワケあるか」
もしそんなんだったら、ラッキーだけど。
しかし、少し前に大河原さんが話していたことが気になる。
『ミスター星天高校、と言っちゃ学校1のイケメンという、栄誉ある称号だ。他校の連中も注目していて、その人気は校内に留まらず、大分広い範囲で騒がれることになるんだとよ』
『ふーん…』
『しかしな?栄誉ある称号の裏は…女子生徒の餌食ってヤツだ。事あるごとに、あちらからこちらからファンが涌き出て追いかけ回されるわ、もみくちゃにされるわ、終いにはファン同士で抗争が起き、先代ミスターの時は、救急車が学校に来たぞ…?』
ま、マジ?
でも、それは先代ミスターの話だろ?
まさかんなことあるワケがない。
女子の単なる娯楽だろ。勝手にやっててくれ。
実感がなく、まるで他人事のように軽く考えていた。
だが、しかし。
この『ミスター星天高校』という肩書きが。
俺の高校生活を大きく変える。
騒動だらけのスクールライフがスタートするのであった。
「…あ、俺が準ミスだって見た?」
「見た見た。準ミスはおまえ、3位木元さん」
「ミスターも準ミスも特典ないのかな。何この達成感のない試合」
「理人、何でおまえそんなに特典欲しいんだよ…」