王子様とブーランジェール
そして、終業式が終わり、学祭の片付けに入る。
教室内の装飾をはずし、備品を片付けたり、ゴミを運んだり。
だが、そこで、教室に来客が。
『私達の夏輝様ぁーっ!ミスコン優勝おめでとうございまぁーす!』
『おめでとうございまぁーすっ!!』
突然登場した、数名の女子たち。
女子二部合唱?
『校内一のイケメン、王子様はやはり!我らが夏輝様ですわよぉー?!とるに足らない!やりましたわよ!オホホホ…』
高笑いを響かせ、女子たちの先頭に立っているのは。
我が家にガス室のある女、小笠原麗華だった。
その隣には、うちわの件で一緒にいた、鈴木さん、金村さんもいる。
しかし。その後ろにも見たことあるようなないような女子たちもぞろぞろといた。
何の集団だこれ。
それに、何?その達成感。
当の本人は、理人の言うように、達成感がない、ようわからん状態だというのに。
何であんたたちが達成感?
そして、コイツも。
『やっぱりぃー。夏輝様のお美しさにはぁー。そこらへんのヤローは勝てないってワケでぇー』
いた。やはりいたぞ。
ゆっくりとしたブリッコ全開の喋り方。
身長が俺より少し低いぐらいの、ふくよかでデカい女子。
肉まんのような女子…ではなく。男子。
肉まんニューハーフ…!
山田フリージア(源氏名?)だ。
…で、あんたたち。何しに来たの。
そのままそっくり言葉にして、返す。
すると、小笠原麗華はまた意味もなく『オホホホー!』と、高笑いを始めた。
『何って、夏輝様にミスコン優勝のお祝いの言葉を捧げるべく、こうして皆の者を引き連れて参りましたのよー!オホホホ…』
『はぁ…』
高笑いを続ける小笠原麗華を前に、もう何のコメントも出てこない。
お祝いのお言葉…捧げてもらったところで、ようわからん状態がますますようわからん状態になる。
やめてくれ。
皆の者だか何だか知らんが。
大名行列のように、俺のところに来るの、やめてくれ。
『…夏輝様!』
すると、小笠原麗華が一歩前に出てくる。
思わず一歩後退してしまった。
な、何…?
『これから私達は、ミスターとなった薔薇のように美しく気高いあなた様を全力で応援していきたいと思いますわ!!』
薔薇のように美しく気高い…。
薔薇?
俺、薔薇?
よくわからん。