王子様とブーランジェール



「『お城』と『ご予算』と『発言権』をくれるって…」



俺のざっくりとした発言に、理人の眉間にはシワが寄った。



「…はぁ?ざっくりしすぎ。ちゃんと聞いてきたんだろ?城って何。大阪城でもくれるのか」

「いや…」





あの後、弁当を食べ終えてから、生徒会室に向かう。

ノックして生徒会室に入ると、女子生徒一人と男子生徒一人が俺を出迎えてくれた。



『ミスター就任おめでとう、竜堂夏輝くん。私が生徒会長の3年8組立花時子です。よろしく。…って、カッコいい。うふっ』

生徒会長と名乗る、黒髪ロングヘアの普通さを醸し出している女子生徒は、一礼したのち、俺の顔を見てはすぐに目をそらし、顔を赤らめ怪しく笑っている。

『カッコいい…今の時代は格闘系イケメンよね…見た目爽やかなのに、格闘系なのよ?二村…』

『会長、顔だらしないですよ』

『うふふ。ごめんなさい。…あ、こっちは書記の二村』

『2年3組二村黄一と言います』

立花会長の隣にいる、眼鏡をかけた男子生徒。

ツンとしていて、話し掛けづらそう。

いかにも優等生って感じだ。



よろしくお願いします…と、深々と頭を下げたが、部活も始まってるので、早速本題に移らせてもらおうと話を振った。

『…で、お話って何ですか』

『あ、そうそう。ミスター就任についてね、いくつか説明しなきゃいけないことがあるんです。座って座って』

『はぁ…』

生徒会室内の応接用のソファーに座らされる。

目の前には生徒会長が座り、書記の二村さんは、小さいキーホルダーのついた鍵を生徒会長に手渡した。

『ミスター竜堂、ミスターにはます三つの特典が与えられます。まず一つ目は、お城』

そう言って、鍵を差し出される。

ハイターズのユニフォームキーホルダーに、2つぶら下がっている鍵。

『西校舎の屋上と屋上に続く渡り階段にある小部屋一つは、あなたのもの』

『へ、部屋と屋上?!』

西校舎とは、かつて本校舎に増築されて造られた部分のことを言うらしい。

本校舎の3分の1ぐらいの大きさであるが、本校舎と西校舎は渡り廊下で繋がっている。

西校舎には、確かに小さいスペースの屋上はある。本校舎とは違って、解放されていないと聞いたことがあるが。

そこは、ミスターの陣地だったのか…!



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