王子様とブーランジェール
baKed.7 王子様とクソ不良討伐ミッション
女子たちの仁義なき闘い
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王子様とクソ不良討伐ミッション
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残暑と言われる暑さが、まだ残る時期ではございますが。
俺の周りには、まだ猛暑日なのでは?と、疑いたくなるような事態になっている。
戦いの始まりは、二学期初日だった。
「夏輝様、おはようございまぁーす!!」
「お久しぶりでぇーすっ!!」
…な、何だ?!
正面玄関で、上靴を履き替えていると。
ズラリと並んでいる、あの大名行列が一斉に俺に向けて挨拶をする。
やたらときゃぴきゃぴしているし、集団だから、声デカっ!
周りの関係ない生徒たちが、一斉に振り返っている。
ちょっと、恥ずかしいんですけど…。
その大名行列の先頭には、やはり。
「夏輝様の美しさは、夏休みが終わっても変わりませんわ!オホホホ…」
また、あんたか…。
小笠原麗華。
相変わらずの高笑いをしており、手にはなぜか扇子を持っている。
昔のお嬢様感倍増しているじゃねえか。
「やーん!夏輝様よー!」
「今日もいつもお素敵ぃーっ!」
すると、小笠原麗華とその愉快な仲間たちは、キャーキャー言いながら一斉にこっちにやってきて、一気に俺を取り囲んでくる。
な、何?!
「夏輝様、インターハイお疲れさまですー!見に行きたかったけど、飛行機代がなくて!ざんねーん!」
「夏輝様、猛暑日大変でしたね!暑がりなのに命助かって何よりです!」
「夏輝様、アイスコーヒーありますよ?!まだまだお暑い日々が続くと思われますので、お飲みになりませんか?!」
「夏輝様、キンキンに凍らせた冷えピタシート、要りませんか?!」
夏輝様夏輝様夏輝様って…。
この日本国内で様付けされてるの、俺と皇族ファミリーぐらいじゃなかろうか。
眩暈がする…。
大名行列、小笠原麗華と愉快な仲間たちの勢いに瞬殺され、直立不動でフリーズする。
また全身真っ白になりそうだ。
桃李じゃないが、白目を剥きそうだ…!
「夏輝様っ。おひさですぅー」
ピタリとくっつかれて、ゾワッと寒イボがたった。
また同じ箇所。左腕付近に密着されている。
耳元には、軽く息を吹き掛けられまた眩暈がした。
またおまえか…山田(フリージア?)!
「夏輝様、髪切ったのぉー?超ワイルドでかっこいいー」
顔が、おもいっきり至近距離で話し掛けてくる。
と、いうか、もうくっつきそう。
いちいち息が吹きかかる…!
死にそう。