王子様とブーランジェール
この二人、お仲間というのも頷ける。
発しているオーラが一緒だ。偉そうで好戦的な…。
セレブ仲間?小笠原はどうやら本気のお嬢様だったようだ。
「…へぇー?扇子のお嬢様、狭山のお友達だったワケ?」
二人の様子を目にして、嵐さんは鼻で笑っている。
しかし、狭山も負けてはいない。
「これはこれは色情魔の嵐じゃねえか?今日も元気に男喰ってんのか?バカめ!」
「人聞きの悪いこと言わないでくれるー?みんなに愛されて愛されて超大変ー?」
「おめでたいヤツだな?おまえは!みんなに愛される公衆便所?」
「まあー?ミスターという普通の人間を神として崇めるよりは、普通の人間を普通の男として見なす方が現実的よー?おめでたいのはあんたたちじゃないの?狭山、あんたも含めて!」
「…ほう?この私にケンカを売る気かぁ?あぁ?」
「ケンカを売る?…やだっ!野蛮ねぇー?」
「嵐、おまえの先代への悪行、罪はこちとら忘れてねえぞ…?この戦犯が!」
「バカじゃないのー?全てはあの人の存在そのもの、私を眼中にすら入れない態度が悪いんじゃないー?」
「あぁっ?貴様みたいな色情魔、眼中に入れたらあの御方の目が腐れるわ!バカめ!」
仲裁してくれるのかと思いきや。
所詮、狭山だった。
更なる挑発をするんじゃない。
これじゃあ、選手交代でエンドレスに闘いが続くだけじゃねえか!
めんどくさっ!
小笠原に代わって、今後は狭山と嵐さんが睨み合っている。
「だから、手出し無用と言ったのに…」と、横で小笠原が呟いていた。
おまえ、実は冷静なんだな。
お互いメンチ合戦が続いていたが、そんな中、急に狭山が笑いだした。
「クックッ…」という、いつもお決まりの悪巧みの笑いだ。
「…な、何がおかしいのよ!このヤンギャル!」
狭山の怪しい笑いは、嵐さんの神経を逆撫でしたらしい。
ムキになっている。
その様子を見て、狭山は更に笑った。
「…まあ、よい。嵐、いつか潰してやる?絶好のタイミングで再起不能になるぐらいに一気に叩き潰してやるからな?覚えとけよ?」
そう言い残して、狭山は笑いながら立ち去る。
階段を昇り、仲間のところへと戻っていった。
その様を呆然と見守る俺達。
…で?狭山。
おまえは結局、何しに来たんだ。
ただの野次馬か!