王子様とブーランジェール
「…なんだありゃ?」
「なになに」
昼休みの生徒が行き交い溢れている廊下には、晴天の日差しが朝から引き続き差し込んでおり、明るい。
陣太と咲哉が廊下に出ており、廊下の窓から下を見下ろしていた。
何かあんのか?と思い、二人に続いてフラッと廊下に出ると、俺は速攻で女子に捕まってしまう。
待ち伏せされてた…。
「あ、あの竜堂くん、お誕生日おめでとう…」
「ど、どうも…」
同学年の知らない女子からまたまたプレゼントを貰う。
紙袋の中には手紙も入っていて…あぁ、またか。
いったい、いつまでプレゼントを貰えばいいのか。
俺にプレゼント渡したい女子、あと何人いるんだ。
うんざりさせられる。
その女子から解放されると、窓から顔を出している咲哉と陣太のもとに寄る。
二人は、唖然としながら窓から下を見下ろしているようだ。
「なした?何あんの?」
二人の間に入ると「おっ」とビックリされる。
「なんかよー。下に女子がうろうろしてんだよ」
「しかも複数。集団。なにしてんだろな」
そう言って、引き続き下を見下ろして様子を伺っている。
は?女子?
確認しようと、一緒に窓から顔を出す。
ホントだ。
女子がうようよと正面玄関口を中心に、うろうろしている。
白いブレザーの制服の女子が多い。
あれは南十字星女子学院、サザ女子の制服だ。
お嬢様ミッションスクールで、セレブの娘が多いと言われてる女子校。
姉の春愛も通っていた高校だ。
他校の制服の女子や、私服の女子もいる。年上っぽい…女子大生か?
いったい、何をしてるんだ?
しばらく、陣太と咲哉とその様子を上から見下ろすカタチで見守る。
すると、女子集団の一人が顔を上げてこっちを見た。
そして、俺と目が合う。
ん?
その女子はしばらくこっちを見続けていた。
そして、俺を指差しながら、周りにいる女子たちを手招きする。
呼び掛けてもいた。
な、何?!何だ何だ?
『いた!いたよー!ミスター!いた!いた!』
えっ…!
お、俺っ?!
その女子集団は、一斉に場所を移動して俺の真下にやってくる。
キャーキャーと黄色い声をあげながら。
そして、一斉に手を振ってきた。
『ミスター!お誕生日おめでとうございまぁーす!』
『竜堂くん、素敵ぃー!きゃーっ!』
な、なんですと…!