王子様とブーランジェール
赤から緑に変わったそのマルは、まるで浮かび上がっているかのようだった。
そして、綺麗に並んでいる。
「函館本線と、札幌駅周辺…?」
その緑のマルは、JR函館本線の各駅と、地下鉄札幌駅からそんなに遠くない地下鉄の駅にあるマルのみ色を変えていた。
『これでわかったよね?有象無象に隠れてわかりづらかったけど、恨みつらみ連中はJR函館本線を使用して行動し犯行に及んでいる。地下鉄は多少足伸ばしちゃった感あるねー』
そうか…そうだったのか。
これでわかった。
主犯格、恨みつらみ連中は。
JR沿線、市外のよそ者不良…!
『…さあここから。犯人がどこの誰だか正体を具体的に暴いていこう。しかし、現時点ではまだまだ情報が足りない。どこのマヌケが何のためにこんなことをし、夏輝を狙うのか?更に情報収集する必要あるよ?』
「…はいっ!」
残党女子生徒、一斉に返事をした。
揃いすぎていて、軍隊みたい。
『まずは、この趣味悪い制服の割り出しを頼む。市内だけじゃなく、函館本線沿いにある地域…小樽、北広島、江別、恵庭…岩見沢まで範囲を広げて調べてほしい』
「了解です!」
『それに加えてこの地域の暴走族、不良連中の動向を調べてくれ。これだけの人数が動員されているんだ。何かもめ事があるかもしれない』
「はいっ!」
『そして…これ以上被害を最小にするために、張り込み、パトロールを行おう』
「…パトロール?」
『奴らは駅に潜んでいる。だから、こっちも駅に潜んでやるんだよ。そして、うちの生徒が現れ、奴らが接触したそこを、叩く』
叩くって…だいぶ物騒だな、おい。
だが、もし捕まえて叩くことが出来たのなら、これ以上の被害を食い止められるし、昨日のように捕まえた連中から情報を得ることも出来る。
効率はだいぶ良い。
…って、それ。
誰がやるの?
辺りを見回す。
「地域区切って担当していこ?」
「武器どうする?何人でかかる?」
「倍で行く?人数足りるかな」
「ぎっちり殺ってやろうよ!」
そこには、残党女子メンバーがひそひそと作戦会議をしている…。
…残党女子、ヤル気満々なんですけど!
まさか、こいつらが?
こいつらがパトロールすんの?
女子だぞ?物騒なことを次々と口にしていたが、女子だぞ?
武器どうする?とか、ぎっちり殺るとか言っていても、仮にも女子だぞ、おい!