王子様とブーランジェール
そして、狭山ら他のメンバーも駆け付け、捕獲に成功。
狭山の会社の強面な男性社員に連行され、狭山んちの自社ビルの地下に連れていき、尋問された。
…本当にやってしまった。
捕まえた!
しかし、その緑ブレザーの素性がわかる。
「…早瀬高校?」
尾ノ上さんは頷く。
「うん。江別のヤンキー高校」
「江別!」
呆れた。
読み通り、やはり市外の…お隣の市の連中だったのか!
ドヤ顔で昨日の武勇伝を胸はって語る尾ノ上さんの横にいた、菊地さんが話し出す。
「私は、菜月さんと美梨也さんの情報収集のお手伝いをしていたんですが、その一報をみんなに拡散したところ、慎吾が早瀬高校の生徒を捕まえて情報収集してくれたみたいなの」
「松嶋が?」
「で、この事件の全容がだいぶわかってきたみたい…」
「ほ、本当?!」
たった一晩で?
ものすごい仕事が早いじゃねえか!
すると、尾ノ上さん、菊地さんのスマホが同時に鳴る。
二人は一斉に画面を覗いた。
同時に二人は俺を見る。
「…竜堂くん、これ!」
菊地さんがその画面を見せてくれる。
これは、何?…『連絡メール』?
《昼休み、全員家庭科室に集合。敵の素性と目的がわかった。早弁してこいバカめ! 狭山》
マジか…!
すると、尾ノ上さんのスマホが再度鳴る。
着信らしく、通話していた。
「…はい、了解です。伝えときます」
電話を切った途端、俺を見る。
「…竜堂くん、狭山さんが昼休み家庭科室に一緒に来いって」
「え…まさか」
菊地さんのスマホの画面を指差す。
尾ノ上さんは頷いていた。
「敵の素性と目的がわかったから、作戦立てるって!早弁してこいって!」
…とうとう、そこに辿り着いた。
俺を挑発してくる、クソ不良連中に。
ようやく…!